「インドネシアの人口は?」と聞かれて、すぐに答えられる人は多くないかもしれません。
世界で最も多くの人口を抱える国はインド。それに続くのが中国・・・。そこまでは誰でも答えられるはずです。しかしその次は・・・となると、なかなかイメージしにくいのではないでしょうか。
そこで本記事では、人口ランキング第4位であるインドネシアの人口について取り上げます。2023年統計を参照しつつつ、具体的には次のテーマで分析します。
この記事を読めば、インドネシアの人口にまつわる問題について、一定の基礎的知識が得られるはずです。また今後のインドネシアがどのように変化していくのか、その端緒がイメージできるはずです。
将来のインドネシアに興味があるという人にとっては必見の内容。ぜひ最後までチェックしてみてください。
インドネシアの人口は世界第4位

国連人口基金(UNFPA)が2023年4月に発表した「世界人口白書2023 – 80億人の命、無限の可能性:権利と選択の実現に向けて」(state of world population 2023|8 Billion Lives, INFINITE POSSIBILITIES – the case for rights and choices) によると、インドネシアの現在の人口は、2億7,750万人です。

国別のランキング上位のトップ10は、以下のとおりで、インドネシアはアメリカに続く第4位に位置しています。
ちなみに日本の人口は1億2,330万人で、世界ランキングでは第12位です。インドネシアの人口は、日本の2倍以上もあるということになります。
なお、インドネシア中央統計庁(BPS: Badan Pusat Statistik)の調査結果「インドネシア統計2023」(STATISTIK INDONESIA 2023 – Statistical Yearbook of Indonesia 2023) によると、2022年のインドネシアの人口は2億7,584万人と推計されています。
国連の数字と、ほぼ一致していると言って良いでしょう。

インドネシアの人口ピラミッドは?
今度は、年齢層による人口分布を見てみましょう。2020年統計によると、以下のようになっています。

| ポストZ世代 | 10.88% | 2013年以降の生まれ:7歳以下 |
| ★Z世代 | 27.94% | 1997年〜2012年生まれ:8歳〜23歳 |
| ★ミレニアル世代 | 25.87% | 1981年〜1996年生まれ:24歳〜39歳 |
| X世代 | 21.88% | 1965年〜1980年生まれ:40歳〜55歳 |
| ベビーブーム世代 | 11.56% | 1946年〜1964年生まれ:56歳〜74歳 |
| ベビーブーム前世代 | 1.87% | 1945年以前の生まれ:75歳以上 |
図表を見ればわかるように、上の表の「★印」を付けた「Z世代」と「ミレニアル世代」で、すでに過半数を占めているのがインドネシアの現状です。
さらに細分化して、「世代」ではなく「年齢」で見てみると、以下のとおりです。

出典:Population of Indonesia 2023 – PopulationPyramid.net
いわゆる「働いて稼ぎ、社会保障を担う」という側の人たちを「生産年齢」(15〜64歳)と言いますが、インドネシアでは7割以上が該当します。単純に言えば「7割超の人たちが3割弱の人たちを養う」という構造になっています。
生産年齢人口(15〜64歳)70.72%
・14歳以下:23.33%
・65歳以上:5.95%
ちなみに日本の現状を見ると、2020年の生産年齢人口は7,509万人で、全体の59.5%です。これも単純に言えば「6割弱の人たちが4割超の人たちを養う」という構造になります。

出典:Population of Japan 2023 – PopulationPyramid.net
生産年齢人口(15〜64歳)59.5%
・14歳以下:11.9%
・65歳以上:28.6%
出典:日本の将来推計人口(令和5年推計)報告書:国立社会保障・人口問題研究所
インドネシアの人口の地域別の分布は?
今度は、地域別の人口分布を見てみます。
インドネシアの人口のうち過半数、実に56%にあたる1億5,000万人超が、首都ジャカルタのあるジャワ島に住んでいます。
ジャワ島の面積は、インドネシア全体のうち、わずか7%です。いかにジャワ島に偏在しているかがわかります。2020年の公式統計にもとづく図が、以下のとおりです。

出典:Hasil Sensus Penduduk (SP2020)
| ジャワ(6州) | 1億5,159万人:人口の56.1% |
| スマトラ(10州) | 5,856万人:人口の21.68% |
| スラウェシ(6州) | 人口の7.36% |
| カリマンタン(5州) | 人口の6.15% |
| マルク・パプア(4州) | 人口の3.17% |
| 小スンダ(3州) | 人口の5.54% |
さらに州ごとに見ると、以下のようになります。これは2022年統計にもとづくものです。
| 西ジャワ州 | 49,405,000人 |
| 東ジャワ州 | 41,150,000人 |
| 中ジャワ州 | 37,032,000人 |
| 北スマトラ州 | 15,115,200人 |
| バンテン州 | 12,252,000人 |
| ジャカルタ首都特別州 | 10,680,000人 |
| 南スラウェシ州 | 9,225,800人 |
| ランプン州 | 9,176,600人 |
| 南スマトラ州 | 8,657,000人 |
| リアウ州 | 6,614,400人 |
| 西スマトラ州 | 5,640,600人 |
| 西カリマンタン州 | 5,541,400人 |
| 西ヌサ・トゥンガラ州 | 5,473,700人 |
| 東ヌサ・トゥンガラ州 | 5,466,300人 |
| アチェ州 | 5,407,900人 |
| パプア州 | 4,418,600人 |
| バリ州 | 4,415,100人 |
| 南カリマンタン州 | 4,182,100人 |
| 東カリマンタン州 | 3,859,800人 |
| ジョグジャカルタ特別州 | 3,761,900人 |
| ジャンビ州 | 3,631,100人 |
| 中スラウェシ州 | 3,066,100人 |
| 中カリマンタン州 | 2,741,100人 |
| 南東スラウェシ州 | 2,701,700人 |
| 北スラウェシ州 | 2,659,500人 |
| リアウ諸島州 | 2,179,800人 |
| ブンクル州 | 2,060,100人 |
| マルク州 | 1,881,700人 |
| バンカ・ブリトゥン州 | 1,494,600人 |
| 西スラウェシ州 | 1,458,600人 |
| 北マルク州 | 1,319,300人 |
| ゴロンタロ州 | 1,192,700人 |
| 西パプア州 | 1,183,300人 |
| 北カリマンタン州 | 727,800人 |
注:2022年11月と12月、新たに南パプア州、中パプア州、山岳パプア州、南西パプア州の4州が新設されて全38州になりましたが、統計表では従前の34州で表記されています。
インドネシアの人口の推移
ここまでは、インドネシアの人口の「現状」について見てきました。今度は過去から現在までの「推移」を見てみることにしましょう。
インドネシア中央統計庁(BPS)は、今までに大型の人口調査(Sensus Penduduk)を10年に1度のペースで行ってきました。第1回目の調査は1961年ですが、それ以来、一貫して増加していることがわかります。

| 1961年 | 9,702万人 |
| 1971年 | 1億1,921万人 |
| 1980年 | 1億4,749万人 |
| 1990年 | 1億7,938万人 |
| 2000年 | 2億626万人 |
| 2010年 | 2億3,764万人 |
| 2020年 | 2億7,020万人 |
厳密に言えば、1961年調査よりも前から、人口調査は行われてきました。オランダ統治時代の18世紀末にも調査が行われてきたようですが、対象地域は一部に限定されていました。また調査手法についても、村の代表による言い伝えや推測に基づくものだったようです。
また1815年頃からは、治安管理を目的とした人口登録制度がスタートしていますが、1824年の英蘭協約によりインドネシアのオランダ帰属が確定してからは、人口登録制度は廃止されることになります。
こうした背景もあって、「インドネシアで全国規模の本格的な人口調査」ということでいくと、上記の「1961年調査」が最初のものと位置づけられています。国連や先進国からの援助もあり、当時としては先進的で本格的な調査内容とプロセスが見られるようです。
なお、インドネシアの人口増加にともない、人口密度も高まっています。参考までに、1キロ平方メートルあたりの数値は以下のとおりです。
| 2000年 | 107人 |
| 2010年 | 124人 |
| 2020年 | 141人 |
インドネシアの人口の将来予測
今度は、インドネシアの人口の将来予測を見てみることにしましょう。
国連の「世界人口推計2022」(World Population Prospects 2022)によると、日本の人口は、2010年にピークを迎えました(1億2813万人)。毎年、減少の一途をたどる「人口減少社会」に突入しており、2060年には9,700万人、2100年には7,384万人になるとされています。
一方のインドネシアは「成長真っ盛り」。
2023年1月1日時点で、2億7,638万人(同じく国連のデータですが前述の数字と若干の誤差があります)だった人口は、2035年には3億台を超えるとしています。
インドネシア政府としても人口増への対応に迫られており、たとえば、スハルソ・モノアルファ国家開発計画大臣は、2023年5月に人口予測値を発表。「2045年に3億2,400万人を突破する」とした上で、人口動態の変化に対応すべきと述べています。
出典:2045年の総人口は3.24億人、世界6位に後退の見通し(インドネシア) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース – ジェトロ
なお、前述の国連の人口推計を見ると、以下のように予測されています。
| 2035年 | 3億人 |
| 2060年 | 3億1,942万人をピークに減少へ |
| 2100年 | 2億9,712万人 |
2060年にピークを迎えてから減少するとしていますが、それでも2100年の数値は現在の人口よりも大きな数字です。また、その頃には、日本(7384万人)の4倍もの人口を抱える大国になっていることがわかります。
インドネシアの人口が多い5つの理由
インドネシアの人口は、約2億7,600万人で世界ランキング第4位。後述するように、2035年には3億の大台に乗ると推測されています。
しかし、なぜインドネシアには、これほどまでに多くの人口を抱えるようになったのでしょうか。その背景には、さまざまな要因がありますが、たとえば次のような5つの理由が考えられます。
詳細については、以下の記事で解説しています。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください。
インドネシアの人口が減少する時代
前述したとおり、「世界人口推計2022」によれば、インドネシアの人口は2060年まで増え続けます。
とはいえ、インドネシアの将来を見ていく上では「2060年頃から人口減少が予想されている」という点も、見逃すべきではありません。
実際のところ「人口増加数」ではなく「人口増加率」に着目すると、すでに減少を始めていることがわかります。
たとえば、インドネシア中央統計庁の統計によると、以下の数字になっています。
| 1971年 | 1億1,921万人 | |
| 1980年 | 1億4,749万人 | 1971年からの年平均2.31%増 |
| 1990年 | 1億7,938万人 | 1980年からの年平均1.98%増 |
| 2000年 | 2億626万人 | 1990年からの年平均1.44%増 |
| 2010年 | 2億3,764万人 | 2000年からの年平均1.49%増 |
| 2020年 | 2億7,020万人 | 2010年からの年平均1.25%増 |

インドネシアの人口と人口増加率の推移(1961年〜2020年)
また世界銀行のデータによると、インドネシアの人口増加率は右肩下がりに鈍化していることがわかります。
| 1950年〜 | 2%〜2.8%で推移 |
| 1986年〜 | 2%を割る |
| 1999年〜 | 1.5%へ |
| 2018年〜 | 1%割れへ |
また、前述した、スハルソ・モノアルファ国家開発計画大臣の2023年5月発表の人口予測では、2020年から2050年までの人口増加率は、年平均で0.67%と試算されている模様です。
こうしたことから、2020年の人口統計の公表にあたり、BPSのスハリヤント長官は「2012年に始まった人口ボーナス期は2021年にピークを迎える。2036年には人口ボーナスが消える」との見解を2021年に発表しています。
出典:Indonesia’s Demographic Dividend Reaches Peak in 2021
「人口ボーナス」とは、「生産年齢人口(15〜64歳」に対して「従属人口(14歳以下と65歳以上)」の比率が低い状態のことを言います。いわゆる「稼ぎ手」が多くて消費も旺盛になり、かつ、社会保障費用がおさえられることから、経済成長が加速しやすい時期だとされています。
また2022年には、サンディアガ・ウノ観光・創造経済大臣が「2030年には人口ボーナスのピークを迎える。雇用の創出のためにも起業家精神が必要だ」と述べています。
出典:Demographic Dividend Pointless without Jobs: Sandiaga
インドネシアというと、まだまだ若くて元気な国というイメージがあります。実際そうではあるものの、高齢化や少子化の動きも次第に始まりつつあります。
このグラフを見るとわかるように、「0〜14歳」の人口割合は、第2回調査の1971年には44.12%でしたが、第7回調査の2020年には23.33%まで下がっています。

また「60歳以上」の人口割合も、以下のグラフのように、調査回数を経るごとに高まっています。

インドネシアにおける60歳以上人口の推移(1971年〜2020年)
長期的なインドネシアを見る場合、こうした動きも、しっかりと理解しておく必要があります。
なお、ちょっと古い本になりますが、インドネシアにおける人口ボーナス事情については、新書「経済大国インドネシア – 21世紀の成長条件」で詳しく解説されています。アジア経済研究所の佐藤百合先生が書かれた書籍です。ぜひチェックしてみてください。

「インドネシアの人口」についてのまとめ
インドネシアの人口について解説してきました。
インドネシアの人口は2億7,600万。2035年には3億人を突破すると見られています。ますます元気に成長するインドネシアですが、一方で人口減少の兆候が見られるのも事実です。
本記事では、人口ランキング第4位であるインドネシアの人口について、2023年統計を参照しつつ、以下の切り口から分析してみました。
「インドネシアが大好き!」という人でも、これらのテーマに詳しい人は、それほど多くありません。しかし人口を見れば、将来の動向が透けて見える・・・というのは本記事を見れば、おわかりになるかと思います。
インドネシアの人口についての基礎的知識を通じて、今後のインドネシアがどのように変化していくのか、ぜひイメージしてみてください。インドネシアのことが、もっともっと愛しく感じられるようになるに違いありません。

